技術・オペレーションのマネジメント 2019秋 (WBS)

2019年度秋クオーター

「技術・オペレーションのマネジメント」

授業シラバス

今、新たなイノベーションを創出するための手法を求められている人へ

 

授業担当者: 牧 兼充 (kanetaka@kanetaka-maki.org)
オフィス: 早稲田キャンパス11号館1136号室
学期・曜日・時限: 秋クオーター / 土曜日 / 5限(16:30-18:00)、6限 (18:15-19:45)
教室: 11号館902号室 (3号館201号室に途中から変更する可能性あり)
ティーチング・アシスタント:  松田大、引寺佑輔
授業に関する連絡先: tomj2019f-staff@kanetaka-maki.org

このシラバスはあくまで暫定版であり、今後必要に応じて変更する。プリントアウト版ではなくウェブ版が最新なので常にウェブ版を参照のこと。

 

1. 授業概要

「技術・オペレーションのマネジメント」(TOM)は、技術経営と生産管理という二つの相互に関連する異なるトピックから成り立っている。TOMは、ハーバードビジネススクールを中心に発展してきた経営学の一分野であり、初期のTOMは、製品の開発・製造を含めた生産管理が中核であった。その後、情報通信技術、サプライ・チェーン、サービス産業の台頭などにより、生産管理の研究領域が拡大し、それに伴いTOMの研究領域も変化してきた。

現在のTOMは、製品やサービスの開発・製造における技術経営及びイノベーション・マネジメントに関する知見を提供することが主流となっている。

このコースにおいては、技術経営及びオペレーションの基礎をカバーしつつ、先端的なイノベーション・モデルに関する知見を提供する。このコースは、講義、ケース・スタディ、課題、実務家などのゲストスピーカーにより構成される。履修者はTOMの分野の基礎となるフレームワークを学び、その実務への応用方法をケース・スタディを通じて体験する。

このコースでは、以下の3タイプの履修者を想定している。

  • 広い意味で「科学・技術」に関わる仕事に携わっている人
  • 社内で新たなイノベーションを創出することを求められている人
  • せっかくビジネススクールに学びにきたので、今までになかった視野を広げたい人

この授業は多様な分野の「技術」について扱うが、履修にあたってバックグラウンドとしての文系・理系を問わない。また先端的な事例を扱うため、英語のケース教材も含まれているが、語学力は問わない。

2. 授業の到達目標

  1. 先端的な科学技術に関わるビジネスのオーバービューを提供する。
  2. 技術系ビジネスを分析するために必要なフレームワークを提供する。
  3. イノベーションを生み出すために必要なフレームワーク・手法を提供する。

3. 事前・事後学習の内容

  • 履修者は、事前予習文献を読み込み、事前課題を提出することが求められる (各回2時間程度の準備を想定)。
  • この授業では、英語のケースが含まれているので留意すること。

4. 授業計画

以下はあくまで予定であり、履修者のニーズ及びゲストスピーカーの都合により、変更の可能性もある。

第1回 (9/28 5限): イントロダクション & イノベーション
トピック
  • イントロダクション
  • 授業の概要
  • イノベーションとは何か
  • イノベーションを阻害するもの
事前文献課題
  • なし
授業内配布
  • 授業のシラバス
  • ピーター F. ドラッカー、「イノベーションの機会」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2010年6月
  • ジョンT.グルビル、「新製品と消費者行動の経済学」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2007年7月
参考
第2回 (9/28 6限): デザイン思考(1)
トピック
  • デザイン思考の基礎
  • 顧客のニーズの見極め
事前文献課題
  • なし
授業内配布
  • スタンフォード大学d.school編、「デザイン思考クラッシュコース: ワークシート」(牧兼充より翻訳、一部改編)
  • ドン・ノーマン、「誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論」、新曜社、2016年 [第6章「デザイン思考」pp 303-358]
    D. A. ノーマン (著),
  • クレイトンM.クリステンセン、タディ・ホール、カレン・ディロン、「運頼みのイノベーションから脱却する方法 Jobs to Be Done: 顧客のニーズを見極めよ」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2017年3月
推薦書籍
9/28: 授業終了後、有志にて懇親会
第3回 (10/5 5限): デザイン思考(2)
トピック
  • IDEOのイノベーション・プロセス
  • デザイン思考とプロセス
事前課題
  • Stefan Thomke、Ashok Nimgade、「IDEOの製品戦略」、HBS Case #600-143 (日本語ケース: #612-J03)
授業内配布
  • ティム・ブラウン、「IDEOデザインシンキング」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2008年12月
参考
  • エド・キャットムル、「ピクサー 創造力のプラットフォーム」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2008年12月
  • ルー・マクレアリー、「IDEO流医療サービスのイノベーション」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2012年2月
  • ティム・ブラウン、ロジャー・マーティン、「IDEO流実行する組織のつくり方」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2016年4月
  • Tim Brown, “Leaders Can Turn Creativity into a Competitive Advantage”, Harvard Business Review Article
第4回 (10/5 6限): ユーザ・イノベーション
トピック
  • リード・ユーザ・リサーチ
  • ユーザ・イノベーション
  • 民主化するイノベーション
事前課題
  • Stefan Thomke、「3Mコーポレーションにおけるイノベーション(A)」、HBS Case #699-012 (日本語ケース: #607-J03)
授業内配布
  • Stefan Tohmke、 “Innovation at 3M Corp. (B)”、HBS Case #699-013
  • エリック・ フォン・ ヒッペル、ステファン・ トムク、メアリー・ ソナック、「3Mが実践する:ブレークスルーを生み出すリード・ユーザー・プロセス -社外のイノベーションを製品開発に取り込む-」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2000年2-3月
  • エリック・フォン・ヒッペル、「民主化するイノベーションの時代 – メーカー主導からの脱皮」、ファーストプレス、2005年 [第10章「適用例: リード・ユーザー・イノベーションを追え!」pp 172-188]
第5回 (10/12 5限): プラットフォーム・ビジネス
トピック
  • プラットフォームの基礎
  •  Googleのプラットフォーム戦略
  • ゲスト参加: 久米雅人氏 (グーグル合同会社ストラテジックリレーションシッププログラムマネージャー)
事前課題
  • Benjamin Edelman、Thomas R. Eisenmann、「2014年のグーグル(要約版)」、HBS Case #915-005 (日本語ケース: #916-J01)
授業内配布
  • トーマス・アイゼンマン、ジェフリー・パーカー、マーシャル・W・バン・アルスタイン、「「市場の二面性」のダイナミズムを生かすツー・サイド・プラットフォーム戦略」、ダイアモンド・バーバード・ビジネス・レビュー、2007年6月
参考
  • Thomas R. Eisenmann, “Platform-Mediated Networks: Definitions and Core Concepts”, Harvard Business School Module Note (HBS Case #9-807-049)
第6回 (10/12 6限): シェアリング・エコノミー
トピック
  • シュエアリング・エコノミー
  • ウーバーのビジネス・モデルと戦略
  • ゲスト参加: 調整中
事前課題
  • Youngme Moon、「ウーバー: 世界の移動手段を変革する」、HBS Case #16011-02 (日本語ケース: #9-317-J01)
第7回 (10/19 5限): 先端的なテクノロジー・ビジネス: ドローン産業
トピック
  • ドローン産業
  • イノベーションのジレンマ
  • ゲスト参加: 柴田 巧 氏 (株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク代表取締役社長)
事前課題
  • Wai Fong Boh, Wee-Kiat Lim, and Yi Zeng, “Da Jiang Innovations (DJI): The Rise of the Drones”, The Asian Business Case Centre, HBSP #NTU139
授業内配布
  • クリス・アンダーソン、「ドローン・エコノミー: データ取得の革命がビジネスを変える」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2018年1月
  • ジョセフL.バウアー、クレイトンM.クリステンセン、「イノベーションのジレンマ」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2013年6月
  • キム・B・クラーク、カーリス・Y・ボールドウィン、「次世代のイノベーションを生む製品のモジュール化」、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、、1998年12-1月
第8回 (10/19 6限): ゲストスピーカー (1): スピンオフによる伝統的大企業におけるオープン・イノベーション
トピック
  • 伝統的大企業におけるオープン・イノベーション
  • 大企業からのスピンオフの実態
  • ドローン産業の今
  • ゲスト・スピーカー: 柴田巧氏 (株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク代表取締役社長)
事前課題
  • なし
10/19: 授業終了後、柴田氏を囲んで交流会
第9回 (10/26 5限): プロセス・イノベーション  [ハローウィン]
トピック
  • プロセス・イノベーション
  • サービス・ビジネスのオペレーション
  • 「ベニハナ」のビジネス・モデル
  • オペレーションの基礎
事前課題
  • W. Earl Sasser Jr.、John R. Klug、「ベニハナ・オブ・トーキョー」、HBS Case #9-673-057 (日本語ケース: 9-607-J19)
第10回 (10/26 6限): 大企業のベンチャー投資とオープン・イノベーション [ハローウィン]
トピック
  • 大企業のベンチャー投資とオープン・イノベーション
  • VC投資におけるストラクチャード・スピンイン・モデル
  • ゲスト: 大澤 弘治氏(Global Catalyst Partners Japan、Managing Director)
事前課題
  • 松田大、土肥淳子、牧兼充、「Global Catalyst Partner Japanによるオープン・イノベーション」、WBS科学技術とアントレプレナーシップ研究部会編、2019年
  • (10/26: 授業後、大澤氏を囲んで、WBS起業部と合同イベント&懇親会)
  • (11/2 大学全体休講)
オンライン学習: オンラインを活用した自習課題を活用して学んで下さい
事前課題
  • W. Earl Sasser Jr.; Ricardo Ernst、”Operations Management Simulation: Benihana V2″、Product #: 7003-HTM-ENG
中間課題
  • Benihana Simulationの課題を11/2 12:00 CourseNaviにて提出すること。
第11回 (11/9 5限): イノベーションの源泉としてのスター・サイエンティスト
トピック
  • スター・サイエンティスト
  • 大学を基盤としたイノベーション
  • 科学の商業化
事前課題
  • H. Kento Bowen、「ランガー研究室: 科学の商業化」、HBS Case #605-017 (日本語ケース: #608-J07)
授業内配布
  • スティーブン・プロケッシュ、「「医療界のエジソン」がイノベーションを生み出し続ける仕組み」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2017年12月
  • 斎藤裕美・牧兼充、「スター・サイエンティストが拓く日本のイノベーション」、一橋ビジネスレビュー、2017年夏号、pp. 42-56
参考
  • ゲイリーP. ピサノ、「バイオテクノロジーの幻想と挑戦」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2008年5月
第12回 (11/9 6限): ゲスト・スピーカー(2): サイエンティストが拓く新事業集積拠点
トピック
  • スター・サイエンティストとスタートアップ
  • 鶴岡サイエンスパークの創造と地方創生
  • ゲストスピーカー: 冨田勝氏 (慶應義塾大学先端生命研究所所長)
事前課題
  • 佐々木達郎、石井美季、牧兼充、「サイエンティスト 冨田勝」、WBS科学技術とアントレプレナーシップ研究部会、2019年
第13回 (11/16 5限):  先端的なテクノロジー・ビジネス: ゲノム産業
トピック
  • ゲノム産業の特徴
  • ゲスト参加: Takafumi Kobayashi氏 (Illumina Japan)
事前課題
  • John A. Quelch, and Margaret L. Rodriguez, “23andMe: Genetic Testing For Consumers (A)”, Harvard Business School Case #514-086
授業内配布
  • John A. Quelch, and Margaret L. Rodriguez, “23andMe: Genetic Testing For Consumers (B)”, Harvard Business School Case #514-095
  • John A. Quelch, and Irene Lu, “23andMe: Genetic Testing For Consumers (C)”, Harvard Business School Case #517-129
第14回 (11/16 6限): イノベーション・トーナメント
トピック
  • イノベーション・トーナメント
事前課題
  • Karim R. Lakhani、「イノセンティブ・ドットコム(A)」、HBS Case #608-170 (日本語ケース: 9-612-J11)
授業内配布
  • Eva Guinan, Kevin J. Boudreau, and Karim R. Lakhani, “Experiments in Open Innovation at Harvard Medial School”, MIT Sloan Management Review, 2013
第15回 (11/23 5限+延長): インクルーシブ・イノベーション & まとめ
トピック
  • インクルーシブ・イノベーション
  • まとめ/コース全体を振り返る
事前課題
  • Rohit Deshpande, ”Cipla”, Harvard Business School Case #503085-PDF-ENGCiPLA
授業内配布
  • 安宅和人、「知性の核心は知覚にある -AI×データ時代に人間が生み出す価値とは-」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2017年5月
参考
11/23: 授業後、懇親会
11/23 6限を補講日として活用する可能性がある

 

5. 授業の進め方

  • ディスカッション主体。学生の事前の予習が強く求められる。
  • この授業では、履修者の積極的な参加が特に重要である。事前準備を手助けするために、授業担当者により、各セッションにおいて「事前課題」が準備されている。これらの「事前課題」は、授業のディスカッションをキックオフする役割を担う。
  • 各セッションの開始時には、履修者のうち数人が指名され、特定の質問への答えを求められる。その後、ディスカッションを授業の履修者全体に広げる。グループ全体で、ケースに関する深い分析を試みる。
  • 履修者は授業全体を通じて積極的な参加が求められる。ディスカッション時には「発言の質」において貢献することが求められる。
  • 授業をインタラクティブにするために、ITツールを積極的に利用する。スマートフォン、タブレットもしくはPCを授業に持ってくること。

6. 教科書

  • 授業担当者が選別したハーバードビジネススクールのケース・スタディ等を集めたコースリーダー

7. 参考文献 (全体)

8.  成績評価方法

  • クラス・ディスカッションへの貢献度 – 40%
    • 各回のクラス貢献フォームを活用し、クラス内での議論への発言及びその質にて評価
  • 事前課題 – 40%
    • ケース・ディスカッションに関する事前課題
  • 授業の出席 – 20%
    • 各回のクラス貢献フォームで評価

[クラス・ディスカッションへの貢献度とは]

  • 効果的にクラス・ディスカッションへ貢献するために重要なのはその頻度(量)ではない。
  • 以下の指標を参考にすること。
    1. 履修者は、クラス・ディスカッションにしっかりと集中しているか。ラップトップや携帯電話などのデバイスを授業の目的以外で利用することは、授業への参加や学習効果にマイナスの影響を及ぼすので注意されたい。
    2. 履修者は他者の発言を積極的に聞いているか。その発言はその時点のディスカッションに関連性が高いのか。過去のコメントにどのように繋がっているのか。コメントはケース分析によるエビデンスに基づいているのか。
    3. 新しいアイディアをテストしようとしているか、それとも安全なコメントをしようとしているか。具体的には、分析なしにケースに記述されている事実を繰り返し述べるだけのコメントは、「安全なコメント」と見なされる。
    4. コメントは、過去のコメントに積み上げる形で、ケースの深い理解につながっているのか。

[採点プロセスの公開について]

  • 授業で獲得した点数は、適宜CourseNavi上でフィードバックする。採点ミスがないか確認すること。授業終了時に確認期間を儲けるので、その際に必ず確認すること。期限までに申し出がない場合には、採点結果に同意したものとして最終成績を確定します。
  • 授業の履修の際に、一次登録以降に追加登録した場合には、特に最初の数回の授業の加点が行われているかを確認すること (システム上、履修者名簿が随時アップデートされるため)。

9. 授業履修に際しての Honor Code

  • 早稲田ビジネススクールの定める「WBS 授業履修に際しての Honor Code」を遵守すること。
  • 本授業におけるHonor Code
    • 全ての課題については、履修者同士で相談しても構わない。必要に応じて、グループで議論することを推奨する。
    • 全ての授業準備、課題については、過去の授業の履修者、もしくは他大学における配布資料・ノート・授業スライドなどを参照することを禁止する。

10. “Equity, Diversity, and Inclusion”の尊重

  • この授業は、インクルーシブであることを前提としています。
  • この授業では、すべての学生が、人種、自認する性別、性的指向性、社会的地位、年齢、障害の有無、宗教、出身地域、国籍、言語の得意・不得意、その他個々人の多様性を生み出すものすべての観点において、同等に学ぶ権利を提供することを目指しています。
  • この授業がインクルーシブであるほど、多様性が生まれ、イノベーションや創造性が強化され、皆さんの学びの体験が向上します。
  • インクルーシブや授業の実現のためには、履修者の皆さんのご理解が不可欠です。どうか積極的に参加し、助け合って、そして皆さんのピアのことの理解を深めてください。
  • 多様性、人とは違うということを相互にリスペクトし、それを強みにして、より良いラーニング・コミュニティを築いていきましょう。

11.備考・関連URL

  • 授業に関するお問い合わせはスタッフMLまでメールすること。教員個人メールやFBの個人チャットは埋もれてしまう可能性があり、またすべての問い合わせは記録の残る形でTAと共に共有したいと考えている。
  • このシラバスは、履修者のニーズ等に応じて、変更の可能性がある。
  • Kanetaka M. Maki, Ph.D. Official Web Page: http://www.kanetaka-maki.org/