概要と目的
- このワークショップは、WBS設置科目「社会科学研究法」の牧パートとして行われるものである。
- 本ワークショップは、従来の日本における「経営学研究法」で想定する範囲には必ずしも当てはまらないような研究手法を紹介することを目指す。既存の「経営学研究」でいうところの「定量研究」に当たる部分もカバーするが、可能な限り、研究手法を「社会科学」全体に広げることに勤める。
- このプロセスを通じて、既存の「経営学研究法」に留まらない、これからのビジネススクールにおいて重要となる学生が身に着けるべき研究の方法論を考えてみたい。
- 本授業は、長内厚教授と共同で担当するものである。授業全体のコーディネートは長内教授が主担当でり、牧は部分的に担当する。授業全体の質問は主担当の長内教授に連絡すること。
スケジュール
- 第1回、第2回: 科学的思考法とは? (4/22)
- 内容
- 科学的思考法 / 実験 / バイアス / 妥当性
- 事前予習文献
- 中室牧子・津川友介著、「原因と結果の経済学」、ダイアモンド社 [第1章、第2章、第3章]
- 入山 章栄 著、「世界の経営学者はいま何を考えているのか – 知られざるビジネスの知のフロンティア」、英治出版 [第6章]
- 事後課題
- あなたが興味のある研究テーマを400字程度でまとめてください。
- その研究テーマを実現するためのリサーチ・デザインを400字程度でまとめてください。
- 内容
- 第3回: デザイン思考を活用したリサーチ・デザイン (5/20)
- 内容
- リサーチ・クエスチョン / デザイン思考
- ゲスト講師: 見崎大悟氏 (工学院大学工学部機械システム工学科准教授)
- 事前予習文献
- Stanford d.school, “Research as Design: Resource Packet”, https://researchasdesign.com/resource-packet/
- 事後課題
- あなたの研究のリサーチ・クエスチョンを1行に、そして検証したい仮説 (変数Aと変数Bの関係)をA4 1枚の図にまとめて下さい。
- 内容
- 第4回: 定量論文の読み方、様々な分析手法、データセット (5/20)
- 内容
- 定量論文の読み方 / 様々な分析手法 /データセット
- 予習文献
- 山本勲著、「実証分析のための計量経済学」、中央経済社 [第1章、第2章、第3章、第4章]
- 森田果著、「実証分析入門」 、日本評論社 [第9章]
- 伊藤公一朗、「データ分析の力 因果関係に迫る思考法」、光文社新書 [第5章、第3章]
- 事後課題
- あなたの研究テーマに基づいて以下の内容をA4 1ページでまとめて下さい。リサーチ・クエスチョン
- 仮説
- 分析単位と変数
- 利用するデータセット
- 内生性を排除するための手法
- あなたの研究テーマに基づいて以下の内容をA4 1ページでまとめて下さい。リサーチ・クエスチョン
- 内容
- 第5回: 実験をケースで体験する (5/27)
- 内容
- ケース・ディスカッション: “Advertising Experiments at RestaurantGrades”
- 事前予習文献
- Michael Luca and Hyunjin Kim, “Advertising Experiments at RestaurantGrades”, Harvard Business School Case, March 2016, HBSP #5-916-039
- 事前課題
- ケースに記載されている演習を授業までに終えておくこと。加えて、以下の点について議論できるように準備しておくこと。
- 既にプラットフォーム上には、広告を購入したレストランが一定数いることを考慮した際に、それでも実験は必要か。それとも、広告のあるレストランとないレストランを単純に比較すれば十分か。
- 演習について、どのアウトカムの変数が最も有効であったか。もし測定することが可能であれば、有効と考えられるアウトカムの変数はあるか。
- RestaurantGradesは、現在のデザインのまま行くべきか、それとも違うデザインに移行するべきか。その結論にはどのくらい自信があるか? 潜在的な不安材料としてはどんなことがあるか。
- あなたが今まで経験してきた仕事を振り返った際に、実験があればもっと良い意思決定ができたかも知れない、という事例はあるか。
- ケースに記載されている演習を授業までに終えておくこと。加えて、以下の点について議論できるように準備しておくこと。
- 内容
- 第6回: ビジネススクールで活用できる実験とは? (5/27)
- 内容
- 実験を活用したビジネスの意思決定事例 /どのように実験をデザインするか
- ゲスト講師: Eric Floyd氏 (カリフォルニア大学サンディエゴ校Rady School of Management助教授)
- 予習文献 (オプション)
- Eric T. Anderson and Duncan Simester, “A Step-by-Step Guide to Smart Business Experiments”, Harvard Business Review, March 2011
- Yan Chen and Joseph Konstan, “Online Field Experiments: A Selective Survey of Methods”, J Econ Sci Assoc (2015) 1:29-42
- Thomas H. Davenport, “How to Design Smart Business Experiments”, Harvard Business Review, February 2009
- Oliver Hauser and Michael Luca, “How to Design (and Analyze) a Business Experiment”, Harvard Business Review, October 2015
- 事後課題
- 授業の内容を参考に、あなたの問題意識に基づいて、日常的な業務の中で実施可能な「実験」をデザインし、A4 2ページ程度でまとめてください。箇条書きで、文法などは気にしなくて良いので、英語でまとめて下さい。Eric Floyd助教授に見てもらい、面白いものについてはフィードバックをもらいます。
- リサーチ・クエスチョン (何を明らかにしたいのか)
- 仮説 (どんな因果関係を検証したいのか)
- どのように被験者を集めるか
- 何をトリートメントにするのか
- 授業の内容を参考に、あなたの問題意識に基づいて、日常的な業務の中で実施可能な「実験」をデザインし、A4 2ページ程度でまとめてください。箇条書きで、文法などは気にしなくて良いので、英語でまとめて下さい。Eric Floyd助教授に見てもらい、面白いものについてはフィードバックをもらいます。
- 内容
成績の付け方
- この授業はP/Q判定です。授業の出席と課題の提出状況で判断します。
- 授業に1コマ出席するごとに1点を差し上げます。課題を提出するごとに1点を差し上げます。合計で5点獲得していれば、牧パートについては合格とします。
- 課題については提出さえしてもらえれば、クオリティは問いません。