WBS-JRI B Corp共同講座 2024 Series 01

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共催: 株式会社日本総合研究所、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター
担当者: 牧 兼充 (kanetaka@kanetaka-maki.org)、根本直子 (naokonemoto@waseda.jp)
期間: 2024年2月21日 (水) – 2024年2月23日(金)
形態: オンラインビデオ (2モジュール) + 対面ワークショップ (3日)
教室:  早稲田大学早稲田キャンパス (全3回 26号館 8F 801番教室 )

 

 

1.プログラム概要

株式会社日本総合研究所、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センターは共同で、「B Corpを活用したSX人材育成」プログラムを提供する。このプログラムは、オンラインビデオの学習とケース教材ベースのワークショップを組み合わせることにより、受講者のB Corpの理解や、国内のB Corp ムーブメントへの参加を促進することを目的としている。

2022年より日本政府の新しい資本主義実現検討会議では、経済性と社会性を両立する「公的な役割を担う法人形態」に関する議論が進められて来た。それを具現化する一つの仕組みとして、環境・社会といったサステナビリティ側面に配慮しながら、公益と収益を両立する「良い企業」の認証制度である、B Corpがある。現在、B Corp認証は、米非営利法人であるB Labに運営されており、その認証取得企業数は、国外では95か国8,180社超、国内でも36社(24/02時点)と、中小スタートアップから大企業まで様々なプレイヤーによるB Corp認証への関心が徐々に高まりつつある。

今後もビジネスにおけるサステナビリティのトレンドはより必要不可欠なものとなる中、グローバルなムーブメントであるB Corpの認証基準であるB Impact Assessment (BIA)を活用し、サステナビリティ視点をもって、組織や社会を変革するSX人材の育成に貢献するための共同講座を開設する。

なお、本プログラムの開発は、B Corp認証やベネフィットコーポレーション等の研究を通じて持続可能なビジネスの加速に取り組む教育者ネットワークである米非営利法人 B Academics (https://bacademics.org/) との協力に関する覚書を締結し、実施したものである。

2.プログラムの到達目標

プログラム終了時に以下の知識・スキルを身につけていることを目標とする。

(知識)

  • B Corpの基礎知識の理解
    • B Corpの認証制度であるBIA
    • B Corp認証プロセスで企業が直面する論点
  • B Corpムーブメントへの参加方法

(スキル)

  • 自社でB Corpを取得する場合、組織における取組の背景を理解し、サステナビリティ視点で社内で必要なアクションを考えられるスキル
  • 国内のB Corpへの関心を高め、ムーブメントを促進するため、個人または所属組織として実行可能なアクションを考えられるスキル

3.事前・事後学習の内容

  • 2月7日(水) – 2/20 (火) の間に、基礎知識習得のためのオンデマンドビデオの視聴を完了すること。
  • 第1日目、第2日目、第3日目の授業前に、ケース教材の読了および事前課題の実施を完了すること。

4.教材

  • オンラインビデオ 2本
  • HBSPケース(”B Lab: Can it Scale Business as a force for good?”)
  • 自作ケース(エコリング、バリューブックス、クラダシ)
  • その他、各回のワークショップ時に講師より提供。

5.授業計画 (主なトピック)

  • B Corpムーブメントの背景と現状
  • 実例から学ぶB Impact Assessment
  • どうすればB Corpになれるのか
  • B CorpとIPO
  • 日本でB Corpが広がるためには

6.スケジュール・課題など

事前学習 (2/7-2/20): 提供するオンラインビデオ
トピック
  • 「ESGから見たB Corp概観」(30分)
  • 「B Impact Assessment概要」(30分)
課題
  • 2月7日(水) – 2月20日(火)の間に、基礎知識習得のためのオンデマンドビデオの視聴を完了すること。
第1回 (2/21 19:00-22:00): イントロダクション / ケースI / 対談I
トピック
  • イントロダクション
  • アイスブレイク
  • ケースI:”B Lab: Can it Scale Business as a force for good?”
  • 対談I:国内のBムーブメント・School of B Corpの取り組み
事前課題
  • シラバスに目を通し、授業の概要について理解しておくこと。
  • ケース “B Lab: Can it Scale Business as a force for good?” (日本語訳も別途あり)を読み込み、以下の事前設問について考えておくこと。
  1. Bラボの3つのミッションと戦略をどのように評価しますか。それらは、ポジティブに働きますか? もしくはネガティブに働きますか。前者の場合、異なる要素間にどのようなシナジーが存在しますか。後者の場合、ミッションと戦略をどのように変更すべきだと考えますか。
  2. Bコーポレーションになることの会社にとっての価値は何ですか。BラボがBコーポレーションの数を増やすためにどのようなことをすべきでしょうか。より一般的に、企業や投資家が、短期的ではなく長期的に、自社の利益だけでなく社会レベルで考えるようになってもらうためには、どのようなインセンティブの提供が重要ですか。エスティ社のIPOにどのように対応すべきでしょう。同様に将来上場を望む企業にどのように対応すべきでしょう。
  3. Benefit Corporationと呼ばれる新しい法人格の設立をどのように評価しますか。この形式の法人格を全米50州で得ることは重要だと考えますか。Bラボは、Benefit Corporationのコミュニティとどのように連携していますか。
  4. Bラボの活動をどのように評価しますか。Bラボのアプローチはどのように進化しましたか。次のステップとして何を考慮すべきでしょうか。
第2回 (2/22 19:00-22:00): ケースII / ケースIII
トピック
  • ケースII 「エコリング:B Corp認証が企業ガバナンスへ与える影響~エコリングの社内改革~」
  • ゲスト: 大和田 誠太郎氏(株式会社エコリング コンプライアンス部 部長)
  • ケースIII 「バリューブックス:中古商品を取り扱う企業の責任とは~バリューブックスの気づきと対応~」
事前課題 ケースII「エコリング:B Corp認証が企業ガバナンスへ与える影響~エコリングの社内改革~」

ケースを読み込み、以下の設問について考えておくこと。

  1. エコリングのビジネスモデル(≒誰にどんな価値を提供する会社か)を理解し、あなたがB Labに説明する場合なら何を社会的価値として訴求するか考えましょう。
  2. その上で、ケースのロールプレイA、Bに登場する買取エリアマネージャーとタイ現地法人代表を説得する内容を考えてきてください。

ケースIII「バリューブックス:中古商品を取り扱う企業の責任とは~バリューブックスの気づきと対応~」

ケースを読み、プレスリリースの原案を考えてくること(注:実際のプレスリリースは検索できますが、可能な限り閲覧せずに考えてみて下さい)。

第3回 (2/23 9:00-17:30): ケースIII振り返り / ワークショップ / 対談II / ケースIV / デザイン思考ワークショップ / ラップアップ
トピック
  • ケースIII「バリューブックス:中古商品を取り扱う企業の責任とは~バリューブックスの気づきと対応~振り返り」
  • ワークショップI「ヤマガタデザインはどうやったらB Corpになれるのか」
  • ゲストスピーカー: 長岡 太郎氏(YAMAGATA DESIGN株式会社 街づくり推進室 室長)
  • 対談II&ディスカッション「日本の地域の希望としてのB Corp」
  • ケースIV「クラダシの決断:B Corp認証企業のIPO」
  • デザイン思考ワークショップ「B Corpをいかにして日本に広げるか」
  • ラップアップ
  • アンケート
事前課題
  • ケースIV「クラダシの決断:B Corp認証企業のIPO」を読み込み、以下の事前設問について考えておくこと。
    1. クラダシのビジネスモデルについて整理しましょう。
      • a) 誰にどんな価値を提供するか
      • b) そのために経営資源をどのように組合せその経営資源をどのように調達するか
      • c) パートナーや顧客とのコミュニケーションをどのように行うか
      • d) いかなる流通経路と価格体系のもとで届けるか、というビジネスのデザインについての設計思想 <國領>(1999)
    2. あなたがクラダシのCEOだったらクラダシがIPOする前と後で、各ステークホルダーへの配慮(利益配分)が変わりますか。
    3. あなたがクラダシのCEOだったらクラダシはどのような成長曲線を描きますか。そのために、IPOやB Corp取得をどのように活用(利用)しますか。
* セッション終了後、18:00 – 懇親会(オプション)を開催。

 

7.グループの編成

  • 今回の受講者は合計48人である。
  • 4人1グループで12グループ組成する。

8.プログラム運営メンバー

このプログラムは以下のメンバーにより運営されている。

  • 早稲田大学ビジネススクール (講師)
    • 牧 兼充 (早稲田大学ビジネススクール准教授)
    • 根本 直子 (早稲田大学ビジネススクール教授)
  • 株式会社日本総合研究所
    • 橋爪 麻紀子
    • 渡辺 珠子
    • 水野 ウィザースプーン 希
    • 金生 黎也
  • 株式会社テレコンサービス
    • 松澤 佳郎
  • 株式会社バリューブックス
    • 鳥居 希
  • B Corp認証取得支援コンサルタント
    • 岡 望美 他
  • 運営スタッフ
    • 山口 信恵 (株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)
    • 石井 美季 (早稲田大学ビジネススクール牧研究室)
    • 棟方 隆一 (株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)
    • 盛島 若奈 (株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)
    • 寶井 真友 (株式会社早稲田大学アカデミックソリューション)

9.備考・関連URL

  • プログラム参加にあたっての注意
    • グループワークなど、講義中に、各社の情報を共有されることがあると考えられるが、本研修内に限る取り扱いとする。
    • 研修中に記録のため、研修風景の写真を撮影する。研修後に受講者に共有するので、写真に含まれたくない場合は申し出ること。
  • このプログラムにおける Honor Code
    • 全ての課題については、参加者同士で相談しても構わない。グループで議論することを推奨する。
    • 全ての授業準備、課題については、過去のプログラムの履修者、もしくは他大学における同一授業の配布資料・ノート・授業スライドなどを参照することを禁止する。
  • “Equity, Diversity, Inclusion, and Belonging”の尊重
    • このプログラムは、インクルーシブであることを前提としている。
    • このプログラムでは、すべての参加者が、人種、自認する性別、性的指向性、社会的地位、年齢、障害の有無、宗教、出身地域、国籍、言語の得意・不得意、その他個々人の多様性を生み出すものすべての観点において、同等に学ぶ権利を提供することを目指す。
    • このプログラムがインクルーシブであるほど、多様性が生まれ、イノベーションや創造性が強化され、受講者の学びの体験が向上する。
    • インクルーシブなプログラムの実現のためには、受講者の皆様のご理解が不可欠である。積極的に参加し、助け合って、そして相互にピアのことの理解を深めることを求める。多様性、人とは違うということを相互にリスペクトし、それを強みにしていきたい。
  • プログラム期間中における環境配慮
    • このプログラムでは環境負荷削減のため、ペーパーレスを目指す。配布教材は、一部のワークショップ用資料を除き、原則電子ファイルで配布される。各自が端末にダウンロード頂き、ご自身で管理いただく。
    • プログラム期間中は、極力ペットボトル等の利用を控えるため、21日、22日は、飲料水を水パック、23日はウォーターサーバーを設置予定。マイボトルの持参等にご協力いただく。