授業概要(ドラフト)
担当: 牧 兼充 (Kanetaka M. Maki, Ph.D.)
期間: 2018年度一学期 (4月〜7月)
時限: 月曜日6、7限 (14:20-15:40)
場所: 慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部校舎内
1) 授業の概要
皆さんは、高校や大学を経た後に社会に出て、どんなことを自分のテーマとして追い求めたいと考えていますか?今、世界には、貧困、教育の格差、地方の過疎化、高齢化、地球環境の持続可能性、などたくさんの課題が存在します。本校の卒業生には、こういった社会問題の解決へ向けて活躍している人がたくさんいます。そういった卒業生は、必ずしも高校時代に成績がトップであった訳でもないし、一番目立っていた生徒であったとも限りません。でも高校や大学などで、色々なきっかけからチャンスを得て、それぞれの道を歩んでいます。
この授業では、世界で活躍する卒業生を紹介しながら、学校の勉強以外に、どんなことを高校生が今学び、体験していくべきかを一緒に考えてみたいと思います。今世界にはどんな問題があるか、困難に立ち向かうためにはどんなマインドセットが必要か、どんな方法で課題を解決するためのアイディアを生み出すことができるのか、今世界を大きく変えつつある科学技術にはどんなものがあるのか、自分の目標を実現するためにはどのような人々に出会う必要があるのか、世界で活躍して行くために必要な人材となるためにはどんな教養を持つことが大切なのか、といった点について一緒に議論します。そして、皆さんが今後追い求めたいテーマを一緒に考えて、その分野で活躍する卒業生と交流する場を作りたいと思っています。
「やりたいことが見つかってる人も、まだやりたいことが見つかっていない人も、自分はこれからの人生で何かを成し遂げたい」という志を持っている生徒に履修してもらいたいと思います。
この授業の詳細については、 https://kanetaka-maki.org/yutori2018/ を参照して下さい。
2) 達成目標
この授業を通じて、生徒の皆さんには以下のことを身につけて欲しいと思います。
- 今、世界にはどんな社会的課題があるのか。自分の興味の範囲に止まらず、全体像を知ること。
- 自分がこれから取り組んでいきたい世界の社会的課題に関わるトピックを見つけること。
- 自分が選んだトピックを広げるために、高校生の間に何を学ぶべきかを知ること。
- 自分が選んだトピックを深めていくために、大学をどのように選べば良いか、その基準を知ること。
- 学校での勉強はどのように社会に出て役立つか知り、一方で学校の勉強の良し悪しよりもっと大切な指標があることを知ること。
- 今自分が置かれている環境は、世界の大きな流れの中で、どのように「特殊か」を知ること。
3) スケジュール
- 第1回 – イントロダクション & 今、取り組むべき世界の社会的課題は何か (5月7日)
- トピック
- イントロダクション / 授業の構成 / これからどんな時代を生きるのか / 世界の社会的課題 / 自分のテーマを探る
- 概要
- この授業の構成を解説し、授業の狙いについて理解いただきます。次に、これからどんな時代を生きるのか、というテーマについて議論します。その後、今取り組むべき世界の社会的課題を紹介します。沢山のテーマをご紹介するので、自分はどんなことに興味があるかを考えて、自分が追求したいトピックを考えてもらいます。
- 参考文献
- トピック
- 第2回 – 自分のテーマを探る アントレプレナーシップ (5月14日)
- トピック
- 自分のテーマを探る / アントレプレナーシップ
- 概要
- 映画「October Sky」をケース教材として、自分のトピックを広げて行くためには、どんな困難があり、その困難を乗り越えるためにはどんなマインドセットやスキルが必要かを考えてみます。
- 参考文献
- トピック
- 第3回 – アントレプレナーシップ (続き) – 自分のテーマを発見して、そのテーマを自ら育むために必要な能力としての「リジリエンス」 (5月21日)
- トピック
- 自分のテーマを探る / 高校時代に何をやるか / メンターの役割 / 困難に立ち向かう / これからの時代に必要なマインドセット / ケース・ディスカッション / 最終課題の説明 / リジリエンス
- 概要
- 第2回から引き続き、映画「October Sky」をケース教材として、ディスカッションします。特に今自分が置かれている環境と比較し、自分自身のこれからの意思決定に役立つ知見について議論します。
- 参考文献
- トピック
- 第4回 – 世界の社会課題を解決するために必要な「デザイン思考」 (5月28日)
- トピック
- デザイン思考 / T型人材 / 世界の人たちと「共感」する力
- 概要
- スタンフォード大学d.schoolが世界に広めている課題解決の方法である「デザイン思考」をワークショップ形式にて、実際に体験してもらいます。そのプロセスを通じて、問題をどのように発見し、その解決方法をどのように探すかというツールを身につけてもらいます。
- 参考文献
- トピック
- 第5回 – 世界で活動していくために必要なマインドセットとしての「アントレプレナーシップ」を体験する (6月11日)
- トピック
- アントレプレナーシップ / リスクをとるということ / チームの大切さ / 不確実な環境に対応する / リジリエンス / 戦略を立てる / 競争と協調
- 概要
- スタンフォード大学で開発された「アントレプレナーシップ」を体験するためのゲーム形式のワークショップに参加してもらいます。このプロセスを通じて、アントレプレナーが持つ特性について一緒に考えてみたいと思います。
- 参考文献
- トピック
- 第6回 – アクションプランを組み立てる (6月18日) [授業担当者: 海外出張中]
- トピック
- テーマ / アクションプラン / 何を学ぶべきか / どの大学のどの学部で学ぶべきか
- 概要
- 自分自身が追い求めてみたいテーマを曖昧でも良いので決めます。そのテーマを深めていくためには、どんな知識が必要かを考えてみます。その知識を得るためには、世界の中でどんな大学のどんな学部に行くと一番達成できそうかを探索してみます(慶應義塾大学に絞らず、世界の大学の中から探してみて下さい)。授業80分間で、各自ワークシートをまとめてもらい、後日一人ひとりにコメントを返します。
- 参考文献
- なし
- トピック
- 第7回 – シリコンバレーにいる卒業生と話そう (予定) (6月25日)
- トピック
- シリコンバレー / 卒業生 / キャリア / 世界で戦うということ
- 概要
- 本校の卒業生にはシリコンバレーで活躍する方々が多数います。実際にシリコンバレーと中継でつなぎ、彼ら・彼女らが、今どんなことを仕事にしていて、どんなことに苦労しているか、そして今の仕事にたどり着くまでに、どんなことを学んで来たのかを議論してみたいと思います。
- 参考文献
- なし
- トピック
- 第8回 – 氾濫する情報に騙されないために必要な「科学的思考法」と「教養」- AI時代を生き抜くために – / まとめ- (7月9日)
- トピック
- 科学的思考法 / 統計 / データ / 因果関係 / 相関関係 / 教養 / まとめ
- 概要
- 今社会にはあらゆる情報が氾濫しています。その情報の中には、信ぴょう性が疑わしいものもたくさん含まれています。この回では、氾濫する情報の中で、何が真実かを見極めるための「科学的思考法」について扱います。グローバルに活躍する人材を見ている中で、日本人が他の国の人に比べて、決定的に弱いのがこの「科学的思考法」の訓練であると考えているからです。後半では、AI時代における自らの課題設定の仕方を含めて、教養の役割について議論したいと思います。
- 参考文献
- トピック
4) 注意事項
- この授業は、学校内に限らず、都内などに見学にいく予定である。予め了解した者が履修して欲しい。
- この授業は、内容に応じて、授業時間を延長する場合がある。予め了解した者が履修して欲しい。
5) 高校生がチャンスを広げるためのリンク集
6) この授業にご協力いただいているアドバイザの皆様
- 授業時に適宜紹介