2021年度夏クォーター
「Lab to Market: 科学技術の商業化と科学的実験」
授業シラバス
2021.7.2現在
アントレプレナーシップをサイエンスにしたい人へ
授業担当者: 牧 兼充 (kanetaka@kanetaka-maki.org)
オフィス: 早稲田キャンパス11号館1136号室
学期・曜日・時限: 夏クォーター/ 土曜日 / 5限(16:30-18:00)、6限 (18:15-19:45)
教室: 11-902
ティーチング・アシスタント: 土肥淳子 & 森田善人
このシラバスはあくまで暫定版であり、今後必要に応じて変更する。プリントアウト版・PDF版ではなくウェブ版が最新なので常にウェブ版を参照のこと。
1.授業概要
この授業は、「技術経営」と「アントレプレナーシップ」の融合領域である。この授業の特徴は、「サイエンス」と「アントレプレナーシップ」の関係を (1) シーズとしての「サイエンス」の商業化、 (2) 新事業創造の手法における「サイエンス」の活用、の 2 つの観点から掘り下げる点にある。更に、この授業では、現在米国の大学で用いられている英語によるアントレプレナーシップの教材を用いる。アントレプレナーシップ教育のカリキュラムは日々進化しており、英語による優れた教材が近年増えているためである。
授業は大きく分けて、二つのトピックを扱う。第一のトピックとして、「科学的思考法」を用いた新事業創出法について学ぶ。リーンスタートアップを始めたとした新事業創造手法は、本来的には「科学的実験」に基づいた仮説検証のプロセスそのものである。近年の米国のアントレプレナーシップの教科書ではこのような「科学的思考法」をとりあげることが増えている。授業においては、ケース教材、シミュレーション、論文などを活用しながら、「科学的思考法」の新事業創造の基礎について学ぶ。この手法は、WBSが重視する修士論文にも直接役立つものであり、この授業は研究法の側面も持つ。
第二のトピックとして、科学技術からどのように新事業を創出していくのか、技術評価及びビジネスモデル策定に関する多様なフレームワークを学ぶ。更に、早稲田大学オープン・イノベーション戦略研究機構との連携のもと、大学のシーズの評価を行い、ビジネス化の可能性を検証をする。具体的にはNASAにより開発されたQuickLookというフレームワークを用いる。
Lab to Market という授業名はもともと、カリフォルニア大学サンディエゴ校のビジネススクールでスタートした、科学技術を商業化する手法を学ぶためのプログラムであり、近年はハーバードビジネススクールにおいても同様の授業名がある。この授業では、それらの授業で用いられている教材なども積極的に活用する。各回に事前予習課題が配布される。また英語の教材も含まれる。
これらを統合した最終課題として、技術シーズのマーケットの評価をグループ形式にて発表していただく。
2.授業の到達目標
コース終了時に以下の能力を身につけていることを目標とする。
- 仮説検証プロセスに関する思考力
- 科学的思考法を活用した新事業創造手法
- 科学技術研究の市場性に関するの評価手法
3. 事前・事後学習の内容
- 各回に事前予習を行うことが求められる。
- 割り当てられた技術シーズに関する市場評価を行うことを目的としたグループワークへの積極的な参加が求められる。NASAにより開発されたQuickLookは、20-40時間が必要であると言われており、この作業をグループ・メンバーで分担して行う。
4.授業計画 (主なトピック)
- イントロダクション
- アントレプレナーシップとは何か
- 技術シーズの持ち込み
- 技術評価ワークショップ
- 科学的思考法とは?
- 科学的思考法のアントレプレナーシップ分野での活用
- ナラティブとプレゼンテーション
- 中間発表とフィードバック
- 最終発表
詳細は「スケジュール・課題など」の項目を参照のこと。
5.教科書
- 授業担当者が厳選したコースパケット (ケース・論文など) – オンライン配布
- ビル・オーレット著、「ビジネスクリエーション」、ダイアモンド社、2014年
- デイビッド・J・ブランド、アレックス・オスターワルダー著、「ビジネス・アイデア・テスト – 事業化を確実に成功させる44の検証ツール」、2020年
- ヴィジェイ・クーマー著、「101デザインメソッド -革新的な製品・サービスを生む「アイデアの道具箱」」、2013年
6.参考文献
- Harvard Business Publishing, “Core Curriculum: Entrepreneurship Reading”
- Harvard Business Publishing, “Entrepreneurship Bundle: Implementing an Innovation Strategy”
- Stephen Spinelli and Rob Adams, “New Venture Creation: Entrepreneurship for the 21st Century 10th Edition”, McGraw-Hill Education, 2015
- Heidi M. Neck, Christopher P. Nech, and Emma L. Murray, “Entrepreneurship: The Practice and Mindset”, SAGE Publications, 2017
- S・オーレンゲ著、「アイデア・エヴァリュエーション」、九州大学出版会、2017年
- 中室牧子・津川友介著、「原因と結果の経済学」、ダイアモンド社、2017 年
- ナンシー・デュアルテ著、「ザ・プレゼンテーション」、ダイヤモンド社、2012 年
7.成績評価方法
項目 | 割合(%) | 評価基準 |
クラスへの貢献点 | 30% | 授業の出席、発言回数、発言の質などによって評価する。 |
事前課題の提出 | 30% | 各回の事前課題の提出状況及び必要に応じてその質により評価する。 |
最終発表 | 40% | 最終発表会のプレゼンテーションの質により評価する。 |
8.備考・関連URL
- 授業履修に際しての Honor Code
- 早稲田大学ビジネススクールの定める「WBS 授業履修に際しての Honor Code」を遵守すること。
- 本授業における Honor Code
- 全ての課題については、履修者同士で相談しても構わない。必要に応じて、グループで議論することを推奨する。
- 全ての授業準備、課題については、過去の授業の履修者、もしくは他大学における配布資料・ノート・授業スライドなどを参照することを禁止する。
- “Equity, Diversity, and Inclusion”の尊重
- この授業は、インクルーシブであることを前提としている。
- この授業では、すべての学生が、人種、自認する性別、性的指向性、社会的地位、年齢、障がいの有無、宗教、出身地域、国籍、言語の得意・不得意、その他個々人の多様性を生み出すものすべての観点において、同等に学ぶ権利を提供することを目指している。
- この授業がインクルーシブであるほど、多様性が生まれ、イノベーションや創造性が強化され、履修者の学びの体験が向上すると考えられる。
- インクルーシブや授業の実現のためには、履修者の皆さんの理解が不可欠である。積極的に参加し、助け合って、そしてピアのことの理解を深めて欲しい。
- 多様性、人とは違うということを相互にリスペクトし、それを強みにして、より良いラーニング・コミュニティを築いていくことを目指していきたい。
9.スケジュール・課題など
第1回 (5/29 6限): イントロダクション | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト (オプション) |
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オンデマンド授業1: 大学の技術の商業化 | |
トピック |
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課題 |
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文献リスト (オプション) |
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第2回 (6/5 5限): イノベーションにおけるプロトタイプの役割 | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト (オプション) |
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第3回 (6/5 6限): 科学技術の商業化 (1) | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(必須) |
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文献リスト (オプション) |
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オンデマンド2: 科学的思考法の基礎 | |
トピック |
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課題 |
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第4回 (6/12 5限): イノベーションにおける仮説検証プロセス | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(必須) |
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第5回 (6/12 6限): 科学技術の商業化 (2) | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(オプション) |
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オンデマンド3: 特許 & マーケットリサーチ | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(オプション) |
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第6回 (6/19 5限): 仮説検証のプロセス・インタビューの手法 | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(必須) |
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文献リスト(オプション) |
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第7回 (6/19 6限): 科学技術の商業化 (3) | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(オプション) |
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第8回 (6/26 5限): 中間発表 – 科学技術の商業化 (4) | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(オプション) |
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第9回 (6/26 6限): 早稲田大学を取り巻くスタートアップ・エコシステム | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(必須) |
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第10回 (7/3 5限): イノベーションを創出するためのエコシステム | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(必須) |
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文献リスト(オプション) |
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第11回 (7/3 6限): 大学を基盤とした科学技術の商業化 | |
トピック |
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事前課題 |
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参考 |
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第12回 (7/10 5限): 科学技術の商業化プロセス | |
トピック |
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事前課題 |
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文献リスト(必須) |
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文献リスト(参考) |
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第13回 (7/10 6限): NarrativeとStorytellingとプレゼンテーション | |
トピック |
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事前課題 |
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参考 |
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第14回・第15回 (7/17 5・6限): 「Quicklookを活用した科学技術の商業化」最終発表会 / Wrap-up | |
トピック |
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参考 |
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10.関連情報
- この授業は、以下の大学における授業を参考にしており、授業設計にあたっては様々なアドバイス示唆をいただいた。ここに感謝したい。
- カリフォルニア大学サンディエゴ校 “Lab to Market” (担当: Vish Krishnan教授)
- 九州大学ビジネススクール「産学連携マネジメント」(担当: 高田仁教授)
- 授業への持ち込みのご協力をいただく主な研究シーズ
- PIFu技術 (Pixel-Aligned Implicit Function for High-Resolution Clothed Human Digitization)
- 森島繁生氏 (早稲田大学理工学術院先進理工学部)
- 深層学習を用いた人間工学データ拡張技術の検討
- 河合隆史氏 (早稲田大学理工学術院基幹理工学部)
- 同調と主張に基づく人共存型モビリティの協調移動技術
- 亀﨑允啓氏 (早稲田大学理工学術院大学院創造理工学研究科)
- ソフトインフレータブルロボット
- 石井裕之 氏(早稲田大学理工学術院創造理工学部)
- 脳波計測ヘッドフォン
- 三木則尚氏 (慶應義塾大学理工学部機械工学科)
- 超音波モータ
- 竹村研治郎氏 (慶應義塾大学理工学部機械工学科)
- PIFu技術 (Pixel-Aligned Implicit Function for High-Resolution Clothed Human Digitization)
- 授業運営スタッフ
- ティーチング・アシスタント
- 土肥淳子氏 (早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 / WBS2017年度修了)
- 森田善人氏 (早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 / WBS2019年度修了)
- 早稲田大学オープン・イノベーション戦略研究機構 科学技術と新事業創造リサーチ・ファクトリー
- 渡邊崇之氏 (ファクトリー・クリエイティブ・マネージャー: FCM)
- 塩月亨氏 (ファクトリー・クリエイティブ・マネージャー: FCM)
- ティーチング・アシスタント
- 授業運営協力者
- ゲスト参加
- 高田仁氏 (九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターセンター長 / 経済学研究院産業マネジメント部門 (ビジネススクール) 教授 – オンデマンド
- 上條由紀子 氏 (長崎大学FFGアントレプレナーシップセンター教授・弁理士) – オンデマンド
- 櫻井崇之氏 (ZUVA株式会社代表取締役) – オンデマンド
- 山本貴史氏 (株式会社東京大学TLO代表取締役社長)
- 朝日透氏 (早稲田大学理工学術院教授 / WASEDA-EDGE 人材育成プログラム 実行副委員長)
- 島岡未来子氏 (早稲田大学政治経済学術院教授(公共経営専攻)/ 神奈川県立保健福祉大学ヘルスイノベーションスクール教授 /WASEDA-EDGE 人材育成プログラム 事務局長)
- 最終審査員
- 阿部博氏 (有限責任あずさ監査法人パートナー/公認会計士)
- 大澤弘治 氏 (Global Catalyst Partners Japan Managing Director)
- 茂澄祐亮 氏 (損害保険ジャパンビジネスデザイン戦略部 特命部長)
- メンター (調整中)
- 金崎寛氏 (損害保険ジャパン株式会社ビジネスクリエーション部特命課長、WBS2018年度修了)
- 他
- ゲスト参加