技術・オペレーションのマネジメント 2017秋 (WBS)
シラバス
授業担当者: 牧 兼充 (kanetaka@kanetaka-maki.org)
オフィス: 早稲田キャンパス11号館1136号室
学期・曜日・時限: 秋学期(前半) / 土曜日 / 5限(16:30-18:00)、6限 (18:15-19:45)
教室: 11号館902号室
ティーチング・アシスタント: 佐々木 達郎 (tatsuo.sasaki.r2@gmail.com) / 平山 毅 (t3hirayama
授業に関する連絡先: tomj2017f-staff@kanetaka-maki.org
このシラバスはあくまで暫定版であり、今後必要に応じて変更する。プリントアウト版ではなくウェブ版が最新なので常にウェブ版を参照のこと。
1. 授業概要
「技術・オペレーションのマネジメント」(TOM)は、技術経営と生産管理という二つの相互に関連する異なるトピックから成り立っている。TOMは、ハーバードビジネススクールを中心に発展してきた経営学の一分野であり、初期のTOMは、製品の開発・製造を含めた生産管理が中核であった。その後、情報通信技術、サプライ・チェーン、サービス産業の台頭などにより、生産管理の研究領域が拡大し、それに伴いTOMの研究領域も変化してきた。
現在のTOMは、製品やサービスの開発・製造における技術経営及びイノベーション・マネジメントに関する知見を提供することが主流となっている。
このコースにおいては、技術経営及びイノベーション・マネジメントの基礎をカバーし、必要に応じて先端領域に関する知見を提供する。このコースは、講義、ケース・スタディ、課題、実務家などのゲストスピーカーにより構成される。履修者はTOMの分野の基礎となるフレームワークを学び、その実務への応用方法をケース・スタディを通じて体験する。
このコースでは、以下の3タイプの履修者を想定している。
- 技術系企業(大企業もしくはベンチャー企業)における経営者を目指すもの。
- 技術系企業・ビジネスを中心とした投資家を目指すもの。
- 技術系企業・ビジネスに関わるコンサルタントになることを目指すもの。
この授業は科学技術について扱うが、履修にあたってバックグラウンドとしての文系・理系を問わない。
2. 授業の到達目標
- 技術・イノベーションのマネジメントに関する分析ツールを提供する。
- 技術系ビジネスに必要なマーケット・リサーチのためのフレームワークを提供する。
- 先端的な技術系ビジネスのオーバービューを提供する。
3. 事前・事後学習の内容
- 履修者は、事前予習文献を読み込み、事前課題を提出することが求められる (各回2時間程度の準備を想定)。
- この授業では、英語のケースが含まれているので留意すること。
4. 授業計画
以下はあくまで予定であり、履修者のニーズ及びゲストスピーカーの都合により、変更の可能性もある。
- 第1回 (9/30 5限): イントロダクション & イノベーション
- トピック
- イントロダクション
- 授業の概要
- イノベーションとは何か
- 事前文献課題
- ピーター F. ドラッカー、「イノベーションの機会」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2010年6月
- 冨山和彦、「AI経営で会社は蘇る」、文藝春秋、2017年 [第1章pp XX-XX]
- 参考資料
- 近能善範・高井文子著、「コア・テキスト イノベーション・マネジメント」、新世社、2011年 [第1章 pp XX-XX]
- トピック
- 第2回 (9/30 6限): デザイン思考(1)
- トピック
- デザイン思考
- (バイオインスピレーション)
- 事前文献課題
- ティム・ブラウン、「IDEOデザインシンキング」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2008年12月
- 授業内配布
- クレイトンM.クリステンセン、タディ・ホール、カレン・ディロン、「運頼みのイノベーションから脱却する方法 Jobs to Be Done: 顧客のニーズを見極めよ」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2017年3月
- 参考資料
- HBSケース、”Bioinspiration at the San Diego Zoo”、Product #614703-HTM-ENG
- トピック
- 第3回 (10/7 5限): デザイン思考(2)
- トピック
- IDEOの製品開発
- 事前課題
- HBSケース、「IDEOの製品戦略」、HBS Case #600-143 (Case #612-J03)
- 授業内配布
- ルー・マクレアリー、「IDEO流医療サービスのイノベーション」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2012年2月
- ティム・ブラウン、ロジャー・マーティン、「IDEO流実行する組織のつくり方」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2016年4月
- 参考
- Tim Brown, “Leaders Can Turn Creativity into a Competitive Advantage”, Harvard Business Review Article
- https://hbr.org/2016/11/leaders-can-turn-creativity-into-a-competitive-advantage
- Tim Brown, “Leaders Can Turn Creativity into a Competitive Advantage”, Harvard Business Review Article
- トピック
- 第4回 (10/7 6限): ユーザ・イノベーション
- トピック
- ユーザ・イノベーション
- 創造的破壊と既存企業
- 事前課題
- HBSケース、「3Mコーポレーションにおけるイノベーション(A)」、HBS Case #699-012 (Case #607-J03)
- 授業内配布
- HBSケース、 “Innovation at 3M Corp. (B)”、HBS Case #699-013
- ジョセフL.バウアー、クレイトンM.クリステンセン、「イノベーションのジレンマ」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2013年6月
- トピック
- 第5回 (10/14 5限): 技術ベースのスタートアップ
- トピック
- 技術ベースのスタートアップの特徴
- 事前課題
- HBSケース、”GolfLogix: Measuring the Game of Golf”、HBS Case #503-004
- 授業内配布
- ジョンT.グルビル、「新製品と消費者行動の経済学」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2007年7月
- カール・シャピロ、ハル・R・バリアン、「顧客価値をとらえるバージョニング戦略」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、1999年4-5月
- 中川理、日戸浩之、宮本弘之、「顧客ロックイン戦略」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2001年10月
- モハンビル・ソーニー、「プロフェッショナルサービスを「機械化」する3つのステップ」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2017年1月
- トピック
- 第6回 (10/14 6限):オペレーションの基礎
- トピック
- オペレーションの基礎
- ゲストスピーカー: 加藤 寛之 氏 (法政大学社会学部准教授)
- 事前課題
- 特になし
- トピック
- 第7回 (10/21 5限): シリコンバレーの歴史
- トピック
- シリコンバレーの歴史
- シリコンバレーの産業構造の変遷
- イノベーションの経済学と産業構造
- 製品のアーキテクチャ
- 事前課題
- マイケル・E・ポーター、「クラスターが生むグローバル時代の競争優位 – イノベーション創出のメカニズムを学ぶ」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、1999年2-3月
- ゲーリー・ハメル、「伝統的組織にシリコンバレーをつくる」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2000年4-5月
- キム・B・クラーク、カーリス・Y・ボールドウィン、「次世代のイノベーションを生む製品のモジュール化」、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、、1998年12-1月
- トピック
- 第8回 (10/21 6限): 大学と産学連携
- トピック
- 大学を基盤としたイノベーション
- 産学連携
- 事前課題
- HBSケース、「ランガー研究室: 科学の商業化」、HBS Case #605-017 (Case #608-J07)
- トピック
- 第9回 (10/28 5限): プラットフォーム・ビジネス
- トピック
- プラットフォーム
- Googleのプラットフォーム戦略
- ゲスト参加: この分野に詳しいゲストが議論に参加
- 事前課題
- HBSケース、「2014年のグーグル(要約版)」、HBS Case #915-005 (Case #916-J01)
- プラットフォーム
- トピック
- 第10回 (10/28 6限):先端的なテクノロジー・ビジネス: ドローン産業 (11月11日5限)
- トピック
- ドローン産業
- オープン・イノベーション
- ゲスト参加: 金子洋介氏 (Terra Drone株式会社事業戦略本部長UTM事業責任者)
- 事前課題
- UCバークレーケース、”3D Robotics: Disrupting the Drone Market”、UC Berkeley Case #B5826
- トピック
- 第11回 (11/11 5限):先端的なテクノロジー・ビジネス: ゲノム産業
- トピック
- ゲノム産業の構造
- ゲスト参加: 成相直樹氏 (Illumina, Inc.) – サンディエゴより中継での参加
- 事前課題
- HBSケース、”23andMe: Genetic Testing For Consumers (A)”、HBS Case #514-086
- 授業内配布
- HBSケース、”23andMe: Genetic Testing For Consumers (B)”、HBS Case #514-095
- HBSケース、”23andMe: Genetic Testing For Consumers (C)”、HBS Case #517-129
- ゲノム産業の構造
- トピック
- 第12回 (11/11 6限): 技術とファイナンス & ベンチャーキャピタル
- トピック
- ゲストスピーカー: 大澤弘治氏 (Managing Director, Global Catalyst Partners Japan)
- タイトル: 「シリコンバレーVCによる技術ベンチャー投資」
- 技術とファイナンス & ベンチャーキャピタル
- シリコンバレーの最新トレンド
- ゲストスピーカー: 大澤弘治氏 (Managing Director, Global Catalyst Partners Japan)
- 事前課題
- なし
- トピック
- (授業終了後、飲み会)
- 休講 (11/18 5限・6限)
- 以下の自習コンテンツを活用してみてください。
- IDEO U
- https://www.ideou.com/
- グローバル知的財産・標準化戦略に関するケース教材
- https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/teaching_case.htm
- 知財を活用した経営戦略に関する英語教材 ~Teaching materials in English on management strategy exploiting IP~:
- https://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/chizai_katuyou_eigo_kyouzai.htm
- IDEO U
- 必要に応じて、最終レポートの準備にあてて下さい。
- 以下の自習コンテンツを活用してみてください。
- 第13回 (11/25 5限) & 第14回 (11/25 6限)
- Part I: 先端的なテクノロジー・ビジネス: シェーアド・エコノミー
- トピック
- シェアード・エコノミー
- 事前課題
- HBSケース、「ウーバー: 世界の移動手段を変革する」、CCJB-HBS-16011-02
- トピック
- Part II: サイエンス型ビジネス
- トピック
- ゲスト参加: 原泰史氏 (政策研究大学院大学専門職)
- サイエンス型ビジネス
- 製薬産業の特徴
- サイエンス型ビジネスの特徴
- スター・サイエンティスト
- 事前課題
- ゲイリーP. ピサノ、「バイオテクノロジーの幻想と挑戦」、ダイアモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー、2008年5月
- 斎藤裕美・牧兼充、「スター・サイエンティストが拓く日本のイノベーション」、一橋ビジネスレビュー、2017年夏号、pp. 42-56
- トピック
- Part III: まとめ
- トピック
- まとめ/コース全体を振り返る
- シリコンバレー・モデルの先にあるもの: 「リアルでシリアスな世界」
- 事前課題
- 冨山和彦、「AI経営で会社は蘇る」、文藝春秋、2017年 [第1章pp XX-XX]
- トピック
- Part I: 先端的なテクノロジー・ビジネス: シェーアド・エコノミー
- 第15回: 最終レポート (締め切り: 12月9日(土) 23:59)
- 課題
- この数年以内にスタートした、これからの社会を変えうる科学技術をベースとした新規ビジネスを選び、そのプロダクト/サービスの概要をまとめてください。加えて、授業で学んだフレームワークを用いて、そのビジネスの成功可能性について、要因の分析を行って下さい。
- 注意: 新規ビジネスを考案するのではなく、既に立ち上がっているビジネスを探索し、選択して下さい。
- A4 1、2ページとします。CourseNaviを通じて提出して下さい。レポートは匿名で他の履修者に公開されます。
- 評価は、1) 他の履修者が選択していないような新しい技術をベースとした新規ビジネスを選択しているか、2) プロダクト/サービスの概要の説明が、他の履修者が学ぶにあたって分かりやすくまとまっているか、3) ビジネスの成功可能性の要因分析が妥当か、の3つの観点から行います。
- 課題
- その他学生のニーズに応じて、授業外でワークショップをやりたいと思っています。
- 技術標準 & 知的財産権
5. 授業の進め方
- ディスカッション主体。学生の事前の予習が強く求められる。
- 授業をインタラクティブにするために、わせポチを積極的に利用する。スマートフォン、タブレットもしくはPCを授業に持ってくること。
6. 教科書
- 授業担当者が選別したハーバードビジネススクールのケース・スタディ等を集めたコースリーダー
7. 参考文献
- 「コア・テキスト イノベーション・マネジメント」、近能善範、高井文子著、新世社、2011年
- 「MOT“技術経営”入門 (マネジメント・テキスト) 」、延岡健太郎著、日本経済新聞社、2006年
8. 成績評価方法
- クラス・ディスカッションへの貢献度 – 25%
- クラス内での議論への発言数及びその質にて評価
- 事前課題・クイズ – 25%
- ケース・スタディに関する事前課題
- 事前予習課題に関するクイズの点数
- 授業の出席 – 25%
- わせポチを利用
- 期末レポート – 25%
- 最終レポートの点数
9. 授業履修に際しての Honor Code
- 早稲田ビジネススクールの定める「WBS 授業履修に際しての Honor Code」を遵守して下さい。
- 本授業におけるHonor Code
- 全ての課題については、履修者同士で相談しても構いません。必要に応じて、グループで議論することを推奨します。
- 全ての授業準備、課題については、過去の授業の履修者、もしくは他大学における配布資料・ノート・授業スライドなどを参照することを禁止します。
10.備考・関連URL
- 授業に関するお問い合わせはスタッフMLまでメールにてお願いします。教員個人メールやFBの個人チャットは埋もれてしまう可能性があり、またすべてのお問い合わせは記録の残る形でTAと共に共有したいと考えています。
- このシラバスは、履修者のニーズ等に応じて、変更の可能性がある。
- Kanetaka M. Maki, Ph.D. Official Web Page: https://kanetaka-maki.org/