技術・オペレーションのマネジメント 2020秋クオーター (WBS)
2020年度秋クオーター
「技術・オペレーションのマネジメント」
(2019年度秋学期ティーチング・アワード総長賞受賞科目)
授業シラバス
2020年11月21日現在
今、新たなイノベーションを創出するための手法を求められている人へ
写真解説: 2019年度履修者が作成しれくれた記念Tシャツ
授業担当者: 牧 兼充 (kanetaka@kanetaka-maki.org)
オフィス: 早稲田キャンパス11号館1136号室
学期・曜日・時限: 秋クオーター / 土曜日 / 5限(16:30-18:00)、6限 (18:15-19:45)
教室: Zoom (オンライン)
ティーチング・アシスタント: 下平哲大、田村栄人
授業に関する連絡先: tomj2020f-staff@kanetaka-maki.org
このシラバスは、今後必要に応じて更新する。プリントアウト/PDF版ではなくウェブ版が最新なので常にウェブ版を参照のこと。
1. 授業概要
本授業は、「技術・オペレーションのマネジメント」という授業名がついているが、事実上は「イノベーションのマネジメント」に関する授業である。大企業からスタートアップまでを含めた組織が、如何にして新たなイノベーションを産み出していけば良いのかを多様な観点から学んでいく。
従来の「技術・オペレーションのマネジメント」(TOM)という授業は、技術経営と生産管理という二つの相互に関連する異なるトピックから成り立ってきた。TOMは、ハーバードビジネススクールを中心に発展してきた経営学の一分野であり、初期のTOMは、製品の開発・製造を含めた生産管理が中核であった。その後、情報通信技術、サプライ・チェーン、サービス産業の台頭などにより、生産管理の研究領域が拡大し、それに伴いTOMの研究領域も変化してきた。そして、現在のTOMは、製品やサービスの開発・製造における技術経営及びイノベーション・マネジメントに関する知見を提供することが主流となっている。
このコースにおいては、技術経営及びイノベーション・マネジメントの基礎をカバーし、可能な限り先端領域に関する知見を提供する。このコースは、ケース・ディスカッション、事前課題、講義、実務家などのゲストスピーカーにより構成される。履修者はTOMの分野の基礎となるフレームワークを学び、その実務への応用方法をケース・ディスカッションを通じて体験する。
このコースでは、以下の3タイプの履修者を想定している。
- 社内で新たなイノベーションを創出することを求められている人
- 広い意味で「科学・技術」に関わる仕事に携わっている人
- せっかくビジネススクールに学びにきたので、今までになかった視野を広げたい人
この授業は多様な分野の「科学・技術」について扱うが、履修にあたってバックグラウンドとしての文系・理系を問わない。また先端的な事例を扱うため、英語のケース教材も含まれているが、語学力は問わない。
[授業形態]
感染症拡大を予防するために、土曜に行われる経営管理研究科の講義科目は、遠隔で行うことになっている。この科目は、授業時間時におけるZoomによるインタラクティブな授業を中心に実施する。このインタラクティブな授業においては、授業中に積極的にディスカッションに参加することが求められる。補足的に、一部のコンテンツはオンデマンドにより提供する。また、授業に参加できなかった人へのオンデマンドによる見逃し配信を提供する。更に、成績とは連動しない形で、対面による補講を1回程度実施できないか、検討中である。
[ティーチング・アワード総長賞受賞にあたってのインタビュー記事]
[過去の履修者の感想]
- [STE Relay Column: Narratives 070] 藤居 善之 「”MakInnovation”の起こし方~TOMJ2019を終えて」
- [STE Relay Column: Narratives 071] 加藤 圭一 「集まり散じて人は変われど 仰ぐは同じき理想の光」
- [STE Relay Column: Narratives 073] 塩澤 美百咲「偶然が導いてくれた授業で学び得たこと」
- [STE Relay Column: Narratives 074] 石川 寛和「登山の途中に見えたInclusiveな景色」
- [STE Relay Column: Narratives 075] 武井 大希「”アーティスト牧”によるTOMはWBS史に残る名盤のひとつである!」
- [STE Relay Column: Narratives 076] 松田 大「今を生きる -技術・オペレーションのマネジメントのLearning Community (TAの視点)」
- [STE Relay Column: Narratives 079] 金 紅愛 「私のパラダイムシフト」
- [STE Relay Column: Narratives 080] 引寺 佑輔 「TAを通じて感じたこと―仕事中の松田大さんはかっこいい!―」
2. 授業の到達目標
このコースが終了までに、
- イノベーションを生み出すために必要なフレームワーク・手法を活用できるようになる。
- 技術をベースとしたビジネスを分析するために必要なフレームワークを活用できるようになる。
- 先端的な科学・技術に関わるビジネスのオーバービューを理解し、今後自分自身で継続的に学び続ける手法を身につける。
3. 事前・事後学習の内容
- 履修者は、事前予習文献を読み込み、事前課題を提出することが求められる (各回2時間程度の準備を想定)。
- この授業では、英語のケース教材が含まれているので留意すること。なお、英語のケース教材の回は、コールド・コールを行わないなど、英語が苦手な者へ配慮する。イノベーションを扱う授業なので、可能な限り、言語のハンディキャップをテクノロジーを活用して解決するための施策について検討する。
4. 授業計画
以下はあくまで予定であり、履修者のニーズ及びゲストスピーカーの都合により、変更の可能性もある。
なお、各回の詳細スケジュール、課題などは、「詳細スケジュール」参照のこと。
第1週 | 第1回 | 9月26日(土) | 5限 | 第2週 |
第2回 | 10月3日(土) | 5限 | デザイン思考ワークショップ・オンライン版 (1) | ||||||
第3回 | 10月3日(土) | 6限 | デザイン思考ワークショップ・オンライン版 (2) | |||||||||||
第3週 |
第4回 | 10月10日(土) | 5限 | デザイン思考とイノベーションを生み出す組織 | ||||||||||
第5回 | 10月10日(土) | 6限 | 民主化するイノベーションとメーカーズ・ムーブメント | |||||||||||
第4週 |
第6回 | 10月17日(土) | 5限 | プラットフォーム・ビジネスとシェアリング・エコノミー | ||||||||||
第7回 | 10月17日(土) | 6限 | 製品のアーキテクチャと新産業の創生 | |||||||||||
第5週 |
第8回 | 10月24日(土) | 5限 | 第9回 | 10月24日(土) | 6限 | イノベーションの源泉としてのスター・サイエンティスト | |||||||
第6週 |
第10回 | 10月31日(土) | 5限 | サービス・オペレーションのイノベーション | ||||||||||
第11回 | 10月31日(土) | 6限 | 量子コンピュータが拓く未来 | |||||||||||
(11月7日(土): 早稲田祭のため、大学全体休講) | ||||||||||||||
オンライン学習 (11月1日-13日) | サービス・オペレーションのマネジメント | |||||||||||||
第7週 |
第12回 | 11月14日(土) | 5限 | 第13回 | 11月14日(土) | 6限 | パンデミック時の意思決定とサイエンス・リテラシー | |||||||
第8週 |
第14回 | 11月21日(土) | 5限 | 第15回 | 11月21日(土) | 6限 | まとめ |
5. 授業の進め方
- ディスカッション主体。学生の事前の予習が強く求められる。
- この授業では、学生の積極的な参加が特に重要である。事前準備を手助けするために、授業担当者により、各回において「事前課題」が準備されている。これらの「事前課題」は、授業のディスカッションをキックオフする役割を担う。
- 各回の開始時には、履修者のうち数人が指名され、特定の質問への答えを求められる。その後、ディスカッションを授業の履修者全体に広げる。グループ全体で、ケースに関する深い分析を試みる。
- 履修者は授業全体を通じて積極的な参加が求められる。ディスカッション時には「発言の質」において貢献することが求められる。
- 授業をインタラクティブにするために、ITツールを積極的に利用する。PC、スマートフォン、タブレットを授業時に活用できるように準備しておくこと。
6. 教科書
- 授業担当者が選別したケース教材・論文・文献の抜粋等を集めたコースリーダー
7. 参考文献 (全体)
- 近能善範、高井文子著、「コア・テキスト イノベーション・マネジメント」、新世社、2011年
- 延岡健太郎著、「MOT“技術経営”入門 (マネジメント・テキスト) 」、日本経済新聞社、2006年
- 一橋大学イノベーション研究センター 編、「イノベーション・マネジメント入門(マネジメント・テキスト)〈第2版〉」、日本経済新聞社、2007年
- 藤本 隆宏著、「生産マネジメント入門〈1〉生産システム編 (マネジメント・テキスト) 」、日本経済新聞社、2001年
- 藤本 隆宏著、「生産マネジメント入門〈2〉生産資源・技術管理編 (マネジメント・テキスト) 」、日本経済新聞社、2001年
8. 成績評価方法
- クラス・ディスカッションへの貢献度 – 40%
- 各回のクラス貢献フォームを活用し、クラス内での議論への発言及びその質にて評価
- 事前課題 – 30%
- ケース・ディスカッションに関する事前課題
- 授業の出席 – 20%
- 各回のクラス貢献フォームで評価
- 最終課題 – 10%
- 簡単な最終レポートを提出していただきます。
なお、事前課題と授業の出席の合計の8割満たした時点で、Bを保証します。
[クラス・ディスカッションへの貢献度とは]
- 効果的にクラス・ディスカッションへ貢献するために重要なのはその頻度(量)ではない。
- 以下の指標を参考にすること。
- 履修者は、クラス・ディスカッションにしっかりと集中しているか。ラップトップや携帯電話などのデバイスを授業の目的以外で利用することは、授業への参加や学習効果にマイナスの影響を及ぼすので注意されたい。
- 履修者は他者の発言を積極的に聞いているか。その発言はその時点のディスカッションに関連性が高いのか。過去のコメントにどのように繋がっているのか。コメントはケース分析によるエビデンスに基づいているのか。
- 新しいアイディアをテストしようとしているか、それとも安全なコメントをしようとしているか。具体的には、分析なしにケースに記述されている事実を繰り返し述べるだけのコメントは、「安全なコメント」と見なされる。
- コメントは、過去のコメントに積み上げる形で、ケースの深い理解につながっているのか。
[採点プロセスの公開について]
- 授業で獲得した点数は、適宜Moodle上でフィードバックする。採点ミスがないか確認すること。授業終了時に確認期間を儲けるので、その際に必ず確認すること。期限までに申し出がない場合には、採点結果に同意したものとして最終成績を確定する。
- 授業の履修の際に、一次登録以降に追加登録した場合には、特に最初の数回の授業の加点が行われているかを確認すること (システム上、履修者名簿が随時アップデートされるため)。
[課題の締め切り後の提出について]
- 各回の事前課題は授業のディスカッションの質を高めることを目的としている。また授業時においては、事前課題の解答にも触れる。従って、授業における事前課題を事後に提出することは学習効果を下げることになる。
- 授業における課題の締め切りは、学生の学習効果の最大化のための、学習のペースを保つことを目的にしている。
- 以上の理由により、この授業においては、全ての課題について、締め切り後の提出を認めない。
9. 授業履修に際しての Honor Code
- 早稲田ビジネススクールの定める「WBS 授業履修に際しての Honor Code」を遵守すること。
- 本授業におけるHonor Code
- 全ての課題については、履修者同士で相談しても構わない。必要に応じて、グループで議論することを推奨する。
- 全ての授業準備、課題については、過去の授業の履修者、もしくは他大学における配布資料・ノート・授業スライドなどを参照することを禁止する。
- 同様の理由で、授業課題の締め切り後 (授業でディスカッションを行った後)の提出は受け付けない。
10. “Equity, Diversity, and Inclusion”の尊重
- この授業は、インクルーシブであることを前提としています。
- この授業では、すべての学生が、人種、自認する性別、性的指向性、社会的地位、年齢、障害の有無、宗教、出身地域、国籍、言語の得意・不得意、その他個々人の多様性を生み出すものすべての観点において、同等に学ぶ権利を提供することを目指しています。
- この授業がインクルーシブであるほど、多様性が生まれ、イノベーションや創造性が強化され、皆さんの学びの体験が向上します。
- インクルーシブや授業の実現のためには、履修者の皆さんのご理解が不可欠です。どうか積極的に参加し、助け合って、そして皆さんのピアのことの理解を深めてください。
- 多様性、人とは違うということを相互にリスペクトし、それを強みにして、より良いラーニング・コミュニティを築いていきましょう。
11.備考・関連URL
- 授業に関するお問い合わせはスタッフML (tomj2020f-staff@kanetaka-maki.org) までメールすること。教員個人メールやFBの個人チャットは埋もれてしまう可能性があり、またすべての問い合わせは記録の残る形でTAと共に共有したいと考えている。
- 既に同一タイトルの授業を履修しているなどの理由でこの授業を聴講として参加することも歓迎する。ただし、その場合も事前のケース教材は読み込んでくること。また、授業における発言は成績への配慮のため、履修者を優先する。
- このシラバスは、履修者のニーズ等に応じて、変更の可能性がある。
- Cohort Book (履修者・聴講者のプロフィールをまとめたもの): 授業のディスカッションのクオリティを上げるために活用させていただく。
- 授業のアナウンスはSlackにて行う。
- スタディ・グループ: 相互に課題などを助け合うためのスタディ・グループを設けます。授業内のブレーアアウトセッションもこのスタディ・グループとなる。
- 授業のトピックに関わるゲスト・スピーカー、ゲスト・ディスカスタントなどをお呼びすることがあるので、あらかじめご了解いただきたい。
- 提出いただいたクラス参加フォームや課題などは、授業での議論の活性化を目的として、実名で履修者やゲスト・スピーカー、ゲスト・ディスカスタントに共有するので、あらかじめご了解いただきたい。
- Kanetaka M. Maki, Ph.D. Official Web Page: https://kanetaka-maki.org/