スター・サイエンティストとアントレプレナーシップ

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研究プロジェクト・プロポーザル

早稲田ビジネススクール
牧兼充
2017.9.29

1. 背景

「サイエンスの経済学」分野の研究では、Zucker & Darby等により「スター・サイエンティスト(Star Scientist)」の存在が指摘されている。スター・サイエンティストとは、卓越した研究業績を残す少数のサイエンティストのことを指し、通常の研究者に比べて、多くの論文を出版し、多くの引用を集め、特許を多数出願する。それと同時に、スター・サイエンティストは、通常の研究者と比べ、ベンチャー企業を設立する傾向にあり、またその関わっているベンチャー企業は他のベンチャー企業に比較して、高い業績を生み出している。このスター・サイエンティストと企業の好循環は、米国のみならず、80年代の日本においても、一部観察されている。

本研究プロジェクトでは、日本を中心に、スター・サイエンティストの時系列変化を分析し、大学改革のインパクトを検証した上で、政策的インプリケーションを探る。それと同時に、ベンチャーキャピタルや企業などに役立つ産学連携、ベンチャー育成に係るビジネス的インプリケーションを探る。

2. メンバー

  • 牧  兼充       (研究代表: 早稲田ビジネススクール准教授)
  • 隅藏  康一      (研究副代表: 政策研究大学院大学教授)
  • 齋藤  裕美      (千葉大学准教授)
  • 原  泰史       (政策研究大学院大学専門職)
  • 福留  祐太      (リサーチ・アシスタント: 慶應義塾大学大学院理工学研究科)
  • 菅井  内音      (リサーチ・アシスタント: 慶應義塾大学理工学部)
  • 赤穂  龍一郎  (リサーチ・アシスタント: 早稲田大学先進理工学部)
  • 石  憲肇       (リサーチ・アシスタント: 早稲田大学政治経済学部)
  • 杉原 希瑳       (リサーチ・アシスタント: 早稲田大学社会科学部3年)
  • 宮地 恵美       (ビジネス・リエゾン: 株式会社MMインキュベーションパートナーズ代表)
  • 佐々木 達郎   (早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター 招へい研究員)
  • 林田丞児     (早稲田大学大学院 経営管理研究科)
  • 草地 慎太郎  (早稲田大学大学院 経営管理研究科)
  • 池澤 龍星  (リサーチ・アシスタント: 早稲田大学社会科学部3年)
  • 林 元輝     ( リサーチ・アシスタント:早稲田大学 先進理工学 部応用物理学科 1年)
  • 長尾  壽子      (事務局)

3. 研究テーマ

  • 日本におけるスター・サイエンティストの同定手法の開発
  • 日本におけるスター・サイエンティストの時系列変化の測定
  • 日本のイノベーション・システム改革におけるスター・サイエンティストへの影響
  • 日本におけるスター・サイエンティストが関与するベンチャー企業の分析
  • スター・サイエンティスト誕生要因の分析
  • スター・サイエンティストの寿命に関する分析
  • スター・サイエンティストの次世代育成に関する分析

4. 主な活動

  • スター・サイエンティスト研究に係るデータセットの整備
  • データセット活用に関するセミナー等の開催
  • 博士・修士学生の育成
  • スター・サイエンティストに関する研究論文の執筆・発表
  • 産学連携による研究会の開催
  • 企業との共同研究
  • 海外の大学との国際共同研究の推進

5. 予測される貢献

  • 日本のイノベーション・システムの検証、改善点の提案
  • 研究成果の活用とその社会経済への還元に関する検証、改善点の提案
  • 産学連携のパフォーマンスに関する検証、改善点の提案
  • 国際機関を含めた政策担当者への知見の提供

6. マイルストーン

[フェーズI: 2017年1月〜2017年8月]

  • データセットの構築
  • 海外連携機関との連携体制の構築
  • スター・サイエンティスト研究の先行研究整理・レビューペーパーのとりまとめ

[フェーズII: 2017年9月〜2018年3月]

  • データの分析
  • 研究成果のとりまとめ・発表
  • 教育プログラムの構築