Entrepreneurship 1: 2008

アントレプレナー概論1 シラバス (2008年度春学期、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)

2008年6月15日現在 

1. 主題と目標 / 授業の手法など

 この授業は、将来的に新事業創造を志す全ての学生を対象としている。SFCは、2006年3月の「慶應藤沢イノベーションビレッジ」(SFC連携型インキュベーション施設)の開設を機に、キャンパスをあげたインキュベーションシステムを構築した。この授業ではSFCの推進する新事業創造コミュニティの創発の一翼を担いつつ、SFC内外で推進される新事業創造の先端的な知見を学生に提供する。学生はこの授業を通じて、アントレプレナーシップを体感し、イノベーションの手法を身につけ、新事業創造法(企画・立案・マーケティング等)を学ぶ。
 各回の授業は、ケース・ディスカッション、ワークショップ及びゲストスピーカーの講演により構成され、アントレプレナー(ベンチャー企業や大企業などで新規事業の立ち上げを担う人材)の育成を目的としている。この授業は、基礎知識提供のみならず、卒業後も利用可能なビジネスネットワークの提供、新規ビジネスモデル構築のためのアイディアの提供、ビジネスモデルのブラッシュアップの場の提供、就業先・インターンシップ先としてのベンチャー企業情報の提供等を行う予定である。
 ケース・ディスカッションでは、アントレプレナーシップ、イノベーション、クリエイティビティ、新事業創造法をテーマとして取り上げて、基礎知識の理解を深める。ワークショップでは、学んだ基礎知識を具体的に活用する手法を体験しながら学ぶ。ゲストスピーカーの講演では、SFCに関係の深いベンチャー起業家をお呼びし、ベンチャー企業の経営、新規ビジネスモデル構築に関するディスカッションを行う。このプロセスを通じて、基礎知識について学びつつ、履修者各自が自ら取り組むテーマを創発することを目指す。
 ここの授業は、大日本印刷株式会社よりの寄付講座であり、様々な形で授業運営にご協力いただいている。またベンチャー育成のための卒業生組織であるメンター三田会、SFC卒業生の同窓会組織であるSFC三田会、慶應SFC イノベーション & アントレプレナーシップ・プラットフォーム研究コンソーシアムとの連携により授業の教材を提供する。その他授業に留まらずに交流会やビジネスアイディアのブラッシュアップなども行う。
 最終課題として、Innovation Challenge (イノベーション力を相互に競うためのコンテスト)を開催する。このコンテストは、課題提示日に配布されるあるオブジェクトについて、締め切りまでの短期間の間にその価値をあげる手法・行動を競うコンテストである。
この授業の履修者の中で実際に起業を志す学生を対象に、大日本印刷株式会社による「DNPベンチャー制度」やメンター三田会による支援を提供する。

2. 授業担当者

環境情報学部教授 熊坂 賢次
環境情報学部講師(非常勤) 牧 兼充


TA
内田有映 (政策・メディア研究科修士課程2年)
SA 袴田英雄 (総合政策学部3年)
SA 長尾槙子 (環境情報学部2年)


3. 教材・参考文献

<授業全体を通した参考文献>

    • ジェフリー・ティモンズ、『ベンチャー創造の理論と戦略—起業機会探索から資金調達までの実践的方法論』、ダイヤモンド社、1997年.
    • トム・ケリー、『発想する会社! -世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』、早川書房、2002年.
    • トム・ケリー、『イノベーションの達人! -発想する会社をつくる10の人材』、早川書房、2006年.
    • ジョン・ムリンズ、『ビジネスロードテスト 新規事業を成功に導く7つの条件』、英治出版、2007年.
    • Guy Kawasaki, “The Art of The Start: The Time-Tested, Battle-Hardened Guide For Anyone Starting Anything”, Portfolio, 2004.
    • Stanford Technology Ventures Program, “EDUCATORS CORNER”, http;//edcorner.stanford.edu/

その他、各回授業の都度紹介。

4. 授業計画

(日付)

テーマ

内容

第1回

(4/14)

ガイダンス

内容: この授業のねらい及び全体概要について。特に過去の授業の履修者の活躍について話し、学生の皆さんがこの授業を履修することにより、今後どんな展望が開けるのかについて解説する。

また廣川克也氏 (慶應藤沢イノベーションビレッジ インキュベーション・マネージャー)をゲストスピーカーとしてお呼びし、慶應藤沢イノベーションビレッジKIEPコンソーシアムをはじめとしたSFCを取り巻くエコシステムについてお話いただく。

授業内課題: 【履修者選抜用レポート】 この授業を履修して何を達成したいか。過去の実績と未来の夢を交えて論じよ。他人との差別化を明確にして、目立つレポートを作成すること。分量はA4 1枚とし、記入用紙は授業時に配布する。

締め切り: 第1回目授業終了時 (4月14日 16:15)

提出方法: 授業終了時にTA/SAに提出

第2回

(4/21)

アントレプレナーシップ1

内容: ケース「October Sky」
米国の炭坑の町コールウッドを舞台にした実話に基づいた映画「October Sky」をベースにしたケース・ディスカッション。主人公の行動特性に関するディスカッションを通じて、アントレプレナーシップとは何かを学ぶ。

事後課題: 第2回の授業で配布した資料を参考にしつつ、本日の授業を通じてあなたが学んだことを400字以内でまとめよ。

締め切り: 4月22日(火) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第3回

(4/28)

アントレプレナーシップ2

内容: ワークショップ「トランプタワー」
グループ別に分かれたビジネスゲームを行う。このビジネスゲームのプロセス及び終了後のディスカッションを通じて、アントレプレナーシップを体感する。

事後課題: 本日の授業を通じてあなたが学んだことを400字以内でまとめよ。

締め切り: 4月29日(火) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第4回

(5/12)

イノベーション1

内容: ケース「グーグル」
世界で最もイノベーションが活発なグーグルをケースとして、グーグルのイノベーションを生み出すメカニズムのディスカッションを通じて、イノベーションを生み出す方法論について学ぶ。

事前課題: グーグルの競争優位の源泉として、イノベーションを生み出すメカニズムがどのようなものか、400字以内でその特徴をまとめよ。

締め切り: 5月10日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第5回

(5/19)

イノベーション2

内容: ワークショップ「イノベーション & クリエイティビティ」
新しいビジネスモデルを生み出す際に必要となる、クリエイティビティを高める手法を学ぶ。革新的なデザイン・ファームである「IDEO」のビデオ教材によるディスカッションを行ったあと、実際に、デザイン手法を体験するためのワークショップを行う。

事後課題: 本日の授業を通じてあなたが学んだことを400字以内でまとめよ。 

締め切り: 5月20日(火) 23:59 

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと 

第6回

(5/26)

新事業創造

内容: ケース「ヤマト運輸株式会社: 1976年」
ヤマト運輸株式会社をケースに取り上げ、小倉社長の宅急便事業への進出の意思決定に関するディスカッションを通じて、新事業創造を行うにあたっての必要な論点を学ぶ。

事前課題: 小倉社長の立場となって、なぜ「宅急便事業」に進出するのか、反対する取締役会を説得する理由について、400字以内でまとめよ。具体的な事例に基づき、ロジカルな理由を示すこと。

締め切り: 5月24日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第7回

(6/2)

休講
早慶戦の予備日のため、予め休講とする。
課題なし

第7回

(補講)

(6/7)

大企業における新事業創造

「DNP訪問セミナー」 概要:

  • 日時: 6月7日(土) 15:00-16:30 (集合は14:45とします)
  • 場所: DNP五反田ビル 1階ホール (http://www.dnp.co.jp/about/map/pdf/dnp_ope12_0607.pdf)
  • 内容: DNPにおける先端的な研究シーズの見学を通じて、大企業における 新事業創造を学ぶ(詳細資料)。
  • 注意: この「DNP訪問セミナー」は、授業の一環であり、出席をとります。また事後課題もあります。ご注意を。

事後課題: 見学ツアーにおいて提示された技術シーズについて、あなたなりのビジネスアイディアを発案し、400字程度でまとめよ。

締め切り: 6月11日(水) 23:59

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第8回

(6/9)

ゲストスピーカー1

内容: 杉山竜太郎氏 (株式会社LoiLo COO)
慶應藤沢イノベーションビレッジに入居している株式会社LoiLoは、楽しくすばやく手軽に映像編集して共有する"LoiLoScope"を開発中である。このソフトウェアの普及・販売戦略のディスカッションを通じて新事業の創造について学ぶ。

参考:
LoiLo inc: http://loilo.tv/product_group/1

事前課題: 「株式会社LoiLoに関する資料」を読み、以下の設問について、400字以内で論じよ。資料ダウンロードのためのIDとパスワードは、授業時もしくはMLにてアナウンスする。

設問: LoiLoScopeは、初めて使ったその時から、映像編集を楽しめる説明書がいらない程にシンプルなソフトウェアである。ユーザーは映像サムネイルを無限平面上のどこでも好きな所へ配置することができ、映像を閲覧、編集、整理し、アップロードを楽しむことができる。このソフトは、ウェブからのフリーダウンロードにより提供する。このLoiLoScopeが展開可能な、様々なビジネスモデルを考えよ。ソフトウェアが無償(SaaSモデル)で入手できる事をポイントに置き、実際にあるウェブサービスと連携して、ユーザーも連携企業も、誰もが利益を得られるような構造(エコシステム)や、全く新しいビジネスモデルを提案すること。イノベーティブなビジネスモデルを目指すこと。

参考:

締め切り: 6月7日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第9回


(6/16)

ゲストスピーカー2

内容: 速水浩平氏 (株式会社音力発電代表取締役社長)
株式会社音力発電は、政策・メディア研究科博士課程1年の速水氏が代表取締役を務める、「床発電」を提供するベンチャー企業である。床発電は、人や車などが床を踏むエネルギーを電力に変換する仕組みであり、現在多数のメディアで取り上げられている。「床発電」の今後のビジネス展開に関するディスカッションを通じて、新事業の創造について学ぶ。その他、これからの環境対策やエコロジー等の全体的な解説、アントレプレナーとして起業した理由、現在抱えている課題などについても扱う。

参考:

事前課題: 資料3点を読み、床発電はどのようなアプリケーションに利用可能か、あなたのアイディアを400字以内で論じよ。なお資料は、以下からダウンロード可能。

資料:

締め切り: 6月14日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第10回

(6/23)

ゲストスピーカー3

内容: 岡田祐子氏 (株式会社 エムズコミュニケイト 代表取締役社長)
DNP発ベンチャー企業である株式会社エムズコミュニケイトは、優良顧客を会員制として囲い込む中核人カードを据え、ポイントカードやクレジットカードをカスタマーロイヤルティプログラムとしてどのように機能させるかをメインにコンサルティングを展開している。また、徹底した顧客起点によるクラスタ分類を用いたCRMマーケティング手法を取り入れ、販売戦略の要として企業支援を行っている。現在まで大手百貨店、コンビニ、総合通販、アパレル等の専門チェーン等の流通小売は元より、食品メーカー等の対顧客戦略部門の支援を直接的に行い、実績をあげている。

株式会社エムズコミュニケイト社のビジネスモデルに関するディスカッションを通じて、大企業発の新事業創造プロセスについて学ぶ。

事前課題: エムズコミュニケイトを研究し、その特徴と提供価値についてまとめよ。表現はできるだけ自分の言葉に置き換えること。提供価値とは、サービス提供先(エムズコミュニケイトのクライアント)にとって何がメリットとなるかの視点で考えよ。

その際に、エムズコミュニケイトが展開する事業の理解と立ち位置 (何を価値提供として事業活動をしているか、クライアント実績、大企業の社内ベンチャー)を踏まえること。
エムズのビジネスモデルは、商品やサービスのメニュー体系、価格が画一的でなく、クライアント毎に実施領域、実施レベルが異なり、個別にソリューションを提供していくビジネスのタイプである。
まず、一企業のビジネスモデルを推察することにより、今まで自身が知っていたビジネスモデルとの違いを認識したり、今一度、「ビジネスモデル」とは何か、を考えるきっかけとする。
参考:
   ホームページ: http://www.emscom.co.jp/
   実績紹介: http://www.emscom.co.jp/casestudies/history.php
   クライアントの声: http://www.emscom.co.jp/casestudies/case.php

締め切り: 6月21日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第11回

(6/30)

ゲストスピーカー4

内容: 岡崎雄太氏、横山一樹氏 (My Earthプロジェクト)
DNPとSFCが連携し、新事業創出を目指す岡崎氏、横山氏をお招きし、現在携わる新事業の概要をお聞きし、ディスカッションすることにより、新事業の創造について学ぶ。

事前課題: My Earthは、「トレーディングカードゲーム」というジャンルの商品である。「My Earthに関する資料」及び「トレーディングカードゲーム研究:結果報告書」を読んだ上で、My Earthが独自にとりうる差別化戦略を400字以内で論じよ。
オプション課題: My Earthは、実在の企業/ NPOの環境に対する取り組みをカード化することにより、子ども達が遊びながら学ぶ仕組みや、オリジナルカードを作れるサービスを提供しています。こうした「My Earth」が持つ、子どもの「メディア」として価値を、更に高めることのできるアイディアが考え、400字以内で論じよ。
参考:

締め切り: 6月28日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第12回

(7/7)

Innovation Challenge

内容: 第11回の授業時に配布されたオブジェクトの価値を上げた手法について、各グループ3分ずつのプレゼンテーションを行う。その後、今回のグループワークから何を学んだかに関するディスカッションを行う。

事前課題: 第11回の授業時に配布されたオブジェクトについて、その価値を上げよ。パワーポイント3枚でその概要をまとめ、当日の3分のプレゼンテーションの準備をしておくこと。この課題はグループワーク形式であり、グループについては第11回の授業時に発表する。なお、ビジネス経験豊富なメンター三田会の有識者をお呼びし、各グループにアドバイザーとして参加していただく。

締め切り: 7月5日(土) 21:00

提出方法: gairon1-staff at kanetaka-maki.org にメールにてtSFC-SFSの課題提出ページより提出のこと

第13回

(7/14)

まとめ

内容: この授業全体を振り返り総括する。

事前課題: このコースを通じて、最も印象深かった点について400字以内で論じよ。

締め切り: 7月12日(土) 21:00

提出方法: SFC-SFSの課題提出ページより提出のこと


5. 提出課題・試験・成績評価の方法など

授業の出席・課題の提出・授業における発言・最終課題(グループワーク)、学期末試験の総合点により判断する。なお、配点は以下の通り。

授業の出席
20%
課題の提出
20%
授業における発言
20%
最終課題(グループワーク)
20%
学期末試験
20%

授業の出席・課題の提出・課題の加点・発言点を得る度に1点を加点。10点以上取得でCを保証する。

6. 履修上の注意・その他

特になし

7. 前提となる知識 (科目名等)

特になし

8. 履修制限 (希望人数および制限方法)

履修人数を制限する。
受け入れ学生数(予定): 約200人

【履修者選抜用レポート】
この授業を履修して何を達成したいか。過去の実績と未来の夢を交えて論じよ。他人との差別化を明確にして、目立つレポートを作成すること。分量はA4 1枚とし、記入用紙は授業時に配布する。(選抜用紙を利用)

9. 同一科目

なし

10. 授業URL

シラバス:http://www.kanetaka-maki.org/entrepreneurship1%3A2008

(参考URL)

11. 注意事項

  • ゲストスピーカーを多数お呼びする授業であり、その日程調整に伴って、スケジュールが変更になる可能性もあることを、予めご了承いただきたい。最新版のスケジュール・課題等は、常に http://www.kanetaka-maki.org/entrepreneurship1%3A2008を参照のこと。
  • この授業には、DNP関係者、メンターなどの学生以外の方々も多数参加する予定なので、予めご了承いただきたい。
  • 大学院生の履修・聴講も積極的に歓迎する。 
  • この授業は、全体のコーディネートを熊坂が担当し、実際の授業運営を牧が担当する。予めご了承いただきたい。
12. その他

 
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